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築地まちづくり事業実施方針(22年3月)に見る臨海地下鉄計画

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2022年3月30日、東京都から「築地地区まちづくり事業実施方針」が発表されました。

築地市場跡の再開発を行うデベロッパーを募るにあたり、再開発事業の内容・方針・条件を定めたものです。

この中に東京臨海地下鉄に関する記載もあり、同じタイミングで東京都から発表された「東京ベイeSGまちづくり戦略2022」と合わせて、注目を集めました。

ただ結論からいうと、「将来臨海地下鉄ができるかもしれないから、築地再開発ではそれに配慮した構造にしておいてください」という内容でした。つまりこの実施方針発表で地下鉄建設の確度が上がったわけではありません。

要点まとめ
  • 築地地区まちづくり事業実施方針は、再開発に参加するデベロッパーに対し、方針や条件を示した
  • 臨海地下鉄に言及はあるものの、将来作られるかもしれないから配慮するように、というレベル。建設の確度が上がったわけではない

参照元:東京都都市整備局「築地地区まちづくり事業」

東京ベイeSGまちづくり戦略(22年3月)に見る臨海地下鉄計画 2022年3月30日、東京都から「東京ベイeSGまちづくり戦略2022」が発表されました。 1年前に臨海副都心と中央防波堤...

築地地区まちづくり事業の実施方針の概要

今回発表された「築地地区まちづくり事業実施方針」は、再開発に関わるデベロッパー等に対し、東京都が示した再開発の方針です。

東京都:「築地地区まちづくり事業」事業実施方針を策定しました

概要は以下のとおりです。

対象エリア

出典:東京都HP

対象は以前築地市場があったエリアです。

右上に突き出して晴海通りに面しているエリアが、以前「築地まちづくり方針」で臨海地下鉄の駅前空間を作ると発表された場所です。

本ブログ記事:臨海エリア新地下鉄のルートと駅の場所

コンセプト・整備に関する条件

再開発を行うデベロッパーに対して、コンセプトや満たすべき条件も提示されました。

コンセプト:「水と緑に囲まれ、世界中から多様な人々を出迎え、交流により、新しい文化を創造・発信する拠点」

整備にあたっての条件

  • 水上から訪れる人々を出迎えるシンボリックで印象的なアイコンとなるデザイン
  • 舟運、バス、地下鉄などのインフラから成る広域交通結節点を形成
  • 隅田川や築地川などの水辺を生かした歩行者ネットワークを形成
  • 浜離宮恩賜庭園や隅田川などの地域資源、食文化など歴史的、文化的ストックを生かし、築地ならではの新たなにぎわい・交流・魅力を創造し、新たな文化を発信する機能を導入
  • 「大規模集客・交流機能」や「国際的な交流拠点にふさわしい会議や催し等ができる機能」を核として、導入する機能相互が連携、融合し、相乗効果を発揮
  • CO2排出実質ゼロを実現、将来にわたり、最先端のデジタルの力を最大限活用 など

※上記のほか、事業に必要な事項として、高速晴海線や臨海地下鉄を考慮した建築制限区域、水辺に開かれた空間となるスーパー堤防の形状等を明示

 

超ざっくりいうと、「船、バス、地下鉄で来やすい」「食で盛り上がるような」「大規模な商業施設や展示場」を作りましょう、という内容です。

さらに事業に必要な事項として、延長される首都高晴海線や臨海地下鉄を考慮した建築制限区域があることが明示されています。

臨海地下鉄に関する具体的記載

次に臨海地下鉄に関する記載を見ていきます。

まとめると以下のようになりました。

  • 臨海地下鉄については2016年と2021年の国交省答申を参照すること
  • 再開発エリアは臨海地下鉄や舟・バスでアクセス・乗り換えしやすくする。また乗り換えのための広場を作る
  • 将来臨海地下鉄が通ったときに地下鉄と接続することを考慮して、建物を建てるように
  • 臨海地下鉄の詳細については、今後募集要項を出すときに発表する

つまり今回の文書では臨海地下鉄に関する新たな情報はなく、地下鉄の検討に進展があったとは言えない内容でした。

具体的な記載は以下のとおりです。

第2-1.立地条件
(10)周辺の交通に関する計画、整備状況等
【都心部・臨海地域地下鉄】
・東京圏における今後の都市鉄道のあり方について(答申)
(国土交通省交通政策審議会、平成 28 年4月)
・東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方 等について(答申)
(国土交通省交通政策審議会、令和3年7月)
第2-2(1)本設整備の方針
ア 都市基盤整備に係る方針
交通広場など交通結節機能について、船着場との一体的で効果的な活用を図るとともに、区部中心部と開発が進む臨海地域とをつなぐ基幹的な交通基盤となる都心部・臨海地域地下鉄等を考慮するなど、舟運、バス、地下鉄などのインフラから成る広域交通結節点を形成する。
第3-1(2)都有地活用事業に関する条件
(ア) 広域交通結節点の形成等
交通結節機能・防災機能を有する広場については、以下の条件を満たすこと。なお、将来の需要にあわせた段階的な整備も可能とする。(中略)
(a) 舟運・バス・地下鉄等を円滑・快適に結節すること。特に、都心部・臨海地域地下鉄の新駅や防災船着場と効果的な相互アクセスを確保すること
第3-1(2)都有地活用事業に関する条件
(オ)土地利用等
応募者は、都心部・臨海地域地下鉄も考慮して、建物等を計画(将来接続の想定等)するものとする。
第3-1(3)関連するインフラの整備
(カ)都心部・臨海地域地下鉄
都心部・臨海地域地下鉄については、「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について(答申)(国土交通省交通政策審議会、令和3年7月)」において、「今後、臨海部の都市づくりとともに、第198 号答申において指摘されている常磐新線延伸(TX)との接続も含め、事業化に向けて関係者による検討の深度化を図るべき」とされている。この答申を踏まえ、本路線の実現に向けて、都は国の参画も得て、「都心部・臨海地域地下鉄構想事業計画検討会」を設置し、地区内における新駅設置も含め、事業計画の策定に向けた検討を進めている。詳細については募集要項等に示す。
第3-1(4)土地利用に関する制限等都心部・臨海地域地下鉄や都市高速道路晴海線、新大橋通りの拡幅など、将来の都市基盤整備を考慮し、建築の制限を行う区域(建築制限区域)のおおむねの範囲を、別添資料5のとおり設定する。

地下鉄のルート

今回の実施方針で建築の制限を行う区域が発表されていました。

出典:東京都HP

黒い影が建築制限区域です。

臨海地下鉄のルートは2つの候補(①晴海通りの下、②晴海通りと環状2号の間)があり、今回建築制限区域を見れば、どちらか分かるかと思ったんですが、2018年に発表されていた「「まちづくり方針」都市基盤施設の方針(交通結節点)」と見比べてみると・・・

2018年「まちづくり方針」都市基盤施設の方針(交通結節点)

出典:東京都HP

今回の建築制限区域はちょうど交通結線点の下。そして、そこを通るのは地下鉄というより首都高晴海線のように見えます。

よって今回の情報では臨海地下鉄がどこを通るのか、は分からずでした。

参考:国交省の答申

今回記載がある国交省の答申の内容は以下のとおりです。

東京圏における今後の都市鉄道のあり方について(2016年)

臨海地下鉄について中央区や東京都の猛烈なプッシュをした結果、2016年に国が初めて公式に臨海地下鉄について取り上げた文書です。

鉄道新線建設のためにはこの文書に載ることが必須なので、臨海地下鉄にとって大きな一歩でした。

国土交通省答申:2016年「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について

 

<6> 都心部・臨海地域地下鉄構想の新設及び同構想と常磐新線延伸の一体整備 (臨海部~銀座~東京)

・東京駅付近において常磐新線と相互直通運転を行う。

【意義】
・国際競争力強化の拠点である都心と臨海副都心とのアクセス利便性の向上。
・山手線等の混雑の緩和。

【課題】
・都心部・臨海地域地下鉄構想は事業性に課題があり、検討熟度が低く構想段階であるため、関係地方公共団体等において、事業主体を含めた事業計画について、十分な検討が行われることを期待。
・また、事業性の確保に向けて、都心部・臨海地域地下鉄構想と<5>の常磐新線延伸を一体で整備し、常磐新線との直通運転化等を含めた事業計画について、検討が行われることを期待。

ざっくりいうと、以下のような内容です。

  • 本当に利益が出るか怪しいし、できたらいいな〜段階に見えるから、もっと検討するように。
  • 同時に提案が出ていた「つくばエクスプレスの秋葉原→東京延伸」と組み合わせると、相乗効果がありそうだから、直通運転も念頭に検討してね

東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について(2021年)

東京メトロの民営化で国と都が株式を売却するに当たり、東京メトロの果たす役割をまとめたもので2021年7月に発表されました。

有楽町線豊住線と品川地下鉄の建設を実質決定づけた重要な文書です。

臨海地下鉄については別の意味があり、東京メトロが臨海地下鉄を作ることはなくなった、ということを意味します。

詳しくはこちら↓

本ブログ記事:「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について」(2021年7月)で豊住線・品川地下鉄の建設はほぼ確定

まとめ

2022年3月22日に発表された東京都の「築地地区まちづくり事業実施方針」は、築地市場跡の再開発を行うデベロッパーを募るにあたり、再開発事業の内容・方針・条件を定めたもの。

臨海地下鉄に関する記載もありましたが、「将来臨海地下鉄ができるかもしれないから、築地再開発ではそれに配慮した構造にしておいてください」という内容で、地下鉄建設の確度が上がったわけではありませんでした。

  • 臨海地下鉄については2016年と2021年の国交省答申を参照すること
  • 再開発エリアは臨海地下鉄や舟・バスでアクセス・乗り換えしやすくする。また乗り換えのための広場を作る
  • 将来臨海地下鉄が通ったときに地下鉄と接続することを考慮して、建物を建てるように
  • 臨海地下鉄の詳細については、今後募集要項を出すときに発表する

 

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