臨海地下鉄

22年11月更新【詳細版】臨海地下鉄計画とは?その歴史と最新情報

※2022年11月25日小池都知事がルート・駅を発表しました。気になる3点(①つくばエクスプレスとの接続、②勝どき・晴海駅の場所、③江東区の沈黙)も含めてまとめました。

本ブログ記事:小池都知事が臨海地下鉄の計画案(ルート・駅)を発表

 

オリンピック開催後の人口増加を見すえて検討が始まったのが臨海地区新地下鉄。

湾岸エリアの新線としてはだいぶ遅く検討が始まったにもかかわらず、住民の増加と、他の路線との接続をうまく取り込んで、できるのか・できないのか論争を巻き起こしている路線です。

ただ、もしできたとしても開通は2040年ごろになるでしょう。何が起きるかわからないし、過剰な期待はせず、来たらラッキーくらいに思っていたほうがよさそうです。

今回の記事では、臨海地下鉄が構想された経緯、ルート・駅の情報、最新の動きなどをまとめました。

なお、筆者は近隣の住民ですがこの地下鉄によって直接の恩恵を受けるわけではないので、純粋な興味で歴史を調査したり最近の動きを追ったりしています。どちらかというと、湾岸エリア全体が盛り上がるので建設された方がうれしいですが、実現してもだいぶ先なので、あまり期待はしていません。

※過去の歴史部分が長編になってしまいましたので、直近の動きだけ確認されたい方は、本記事下部をごらんください(直近の動き:本記事下部へのリンク)。
このような動きをまとめています。

  • 2021年7月:国交省答申で臨海地下鉄は東京メトロが主体となる目がなくなる(豊住線と品川線は建設が決定)
  • 2021年9月:東京都主催の検討会が始まる※2022年10月時点で大きな動きなし
  • 2022年3月:東京都がまとめた「東京ベイeSGまちづくり戦略」に「2040年までの実現を目指す取組」として記載される
  • 2022年3月:東京都が築地再開発に向けてデベロッパー向けに説明した「築地街づくり事業実施方針」に記載される
  • 2022年11月8日:中央区の臨海地下鉄新線推進大会で、都議・副区長が近く進展があるとの発言
  • 2022年11月25日:小池都知事が臨海地下鉄のルートと駅の場所を発表。事業計画案の詳細も発表

直近の動き:本記事下部へのリンク

 

出典:中央区「都心部と臨海部を結ぶ地下鉄新線の整備に向けた検討調査」

臨海地下鉄とは

臨海地下鉄は、中央区が建設を熱望している路線。銀座から、東京オリンピック選手村跡地の巨大マンション群「晴海フラッグ」を通り、豊洲市場の下を通り、国際展示場に至る路線です。

2013年東京オリンピック2020の開催が決まった直後に、中央区が構想を始め、独自に建設に向けた調査も行いました。その甲斐があって、東京都もこの地下鉄を後押し。(2015年)

さらに国交省の2016年答申にも取り上げられることで、正式に国が検討する路線となりました。

しかしそこから進捗がなく、2021年東京メトロが建設する地下鉄は、有楽町線延伸と品川地下鉄で最後と決まったことで、この路線を東京メトロが建設・運用することはなくなりました。

また2021年から東京都主催の検討会が始まりましたが、2022年時点では大きな進展はなく、この先どうなるか読めない路線です。

臨海地下鉄が国に認められるまで(~2016年)

臨海地下鉄の検討を引っ張ってきたのは、一番の恩恵を受ける中央区です。その歴史はざっと以下の通りです。

  • 2012年:オリンピック決定を前にLRT・BRTを構想
  • 2013年:オリンピック決定とともに地下鉄検討を開始
  • 2015年:中央区が地下鉄整備に向けた調査結果を発表。東京都がこれを支持
  • 2016年:国交省答申で取り上げられ、正式に検討が認められた路線に

詳細は以下の通りです。

2012年:オリンピック決定前のBRT構想の開始

2013年の2020オリンピック開催地決定に先立ち、選手村予定地の晴海を持つ中央区は、交通網整備に動いていました。

具体的にはLRT(Light Rail Transit:新型路面電車)および、それに先立つBRT(Bus Rapid Transit:次世代型路線バス)の計画です。

2012年9月4日に中央区が発表した「基幹的交通システム導入の基本的考え方」では、将来的なLRTを念頭に、まずはBRT導入を検討することが発表されました。(LRTは地下埋設物の整理などが必要なため、短期に整備可能なBRTから開始)

検討ルートは、有楽町駅を出て銀座みゆき通りを通り、築地に出た後に環状2号に入り、勝どき・晴海に渡ったあとに晴海中心街に向かうコース。

翌2013年4月には中央区住民への説明会も開いています。最終的にはBRTをLRTにして、銀座みゆき通りは歩行者とトラムだけが行き交うトランジットモールにする、という構想です。

実現したらおしゃれでいい感じですね。

ただ、結局BRTは速度を優先し、人が通らない環状2号を通るルートとなりました。

2013年:オリンピック決定後の地下鉄構想の開始

2013年9月7日、ついに東京オリンピック開催が決まりました。

中央区はここで本気で地下鉄新設を目指すことを決めた模様。2年半後の国交省答申に織り込まれることを目指して急ピッチで動き始めました。

まず1年半で区独自で地下鉄整備を検討し、2015年3月に「都心部と臨海部を結ぶ地下鉄新線の整備に向けた検討調査」を発表します。

ルート案は3つ。報告書の中ではどれがいいという評価は下していません。

概要検討課題
Aルート晴海通りと環状2号線の間の道路を導入区間とするルート新銀座駅(仮)をはじめ、駅設置箇所は道路幅員が狭く、施工難度が高いため、入念な施工検討が必要である
B-1ルート大深度で、概ね晴海通りを導入区間とするルート駅部は大断面シールドとするかマルチシールドとするかなどの検討の深度化が必要である
B-2ルート標準深度で、支障物を回避しながら、概ね晴海通りを導入区間とするルート首都高晴海線延伸計画と競合しているため、当該計画の変更や廃止が条件となる

B-2ルート(晴海通り標準深度)は高速道路の計画変更が条件ということで、これは無さそうに読めます。

B-1ルート(晴海通り大深度)だと、日比谷線や高速道路の下に駅ができるということで、駅が非常に深くなり利便性が課題となりそうです。

Aルート(晴海通りと環状2号の間)は晴海フラッグにとって一番近いルートですが、上の道が狭く駅の工事が大変とのこと。

次に気になる駅の配置。報告書には下記の記載があります。

本路線が運行する臨海部においては、河川や運河が多く、限られた橋を渡って移動しなければならないため、中間駅は河川や運河で分断されている地域ごとになるべく1つずつあることが望ましい

一方、駅数を増やすと、建設費が嵩み、かつ鉄道の表定速度が低下し、鉄道乗車時間が増加するため、可能な限りで駅を統合することが望ましい。また、沿線地域の築地市場跡地等の開発計画を考慮し、まちづくりと連携可能な駅位置とすることが望ましい。

上記を踏まえ、築地地区、勝どき地区、晴海地区、市場前地区にそれぞれ駅を設置して4駅とする場合と勝どき地区、晴海地区を統合して3駅とする場合を検討した。

つまり、住民の利便性を考えると「勝どき」と「晴海」両方に駅があったほうがいいけど、建設費がかさむし乗車時間が長くなるから統合したほうがいいかもなぁ、という感じで、この報告書では両論併記となっています。

晴海フラッグから見ると、当然独立した「晴海」駅ができたほうが近くて望ましい。
でも、もし「勝どき・晴海」統合駅であっても、上記地図のとおりだと、勝どきとの運河の下に駅があるので、勝どきエリアへの橋を渡らなくて済むようになります。


このエリアの橋は、下を船が通れるように高いところに架かっているため、橋を渡るためには結構平地から登らないといけず、地味に疲れます。
統合駅は単独駅より遠いとはいえ、今の勝どき駅に行くのとは違い、橋を渡らなくていいのは結構メリットになりそうです。

2013~16年:ライバルのゆりかもめ延伸を阻止

臨海地下鉄の構想前から、ゆりかもめを豊洲から勝どきまで伸ばす構想があり、国交省答申でも取り上げられた正式なものとなっていました。

豊洲駅から晴海通りを通って、晴海フラッグの中を通り、勝どきに渡り大江戸線に接続する構想です。

ただ臨海地下鉄を推す中央区にとっては、江東区が推進するこのゆりかもめ延伸は邪魔な存在となりました。同じ晴海地区を通り、利用客を奪い合うからです。

地下鉄構築を目指す中央区は、ゆりかもめ延伸を阻止することを決意したようです。

ゆりかもめ阻止に向けた中央区の動き

東京オリンピック開催が決まったあと、中央区は地下鉄誘致に向けて素早く動きます。

2013年

2014年

2015年

2016年

これを見ると、2013年に2020東京オリンピックの開催が決まってから、中央区がすばやく地下鉄新設の調査をまとめ、2016年の国交省答申までに、ゆりかもめ延伸を押しのけて東京都のお墨付きを得て、見事、国からの後押しも得たことが分かります。

ゆりかもめ阻止に向けた主なやり取り

上記にも記載した、オリンピック招致が決まって半年も経たない2014年2月24日中央区東京オリンピック・パラリンピック対策特別委員会での、委員と副区長のやりとりは、ゆりかもめ延伸に対してフルボッコです。私がゆりかもめだったら泣いてます・・・

今野委員

  • 風やさまざまな気象条件で運行がとまってしまう
  • 現実にまちを分断してしまう
  • 勝どきまでしか来ていないということでは意味がない

吉田副区長

  • 豊洲から先の路線についての実現の可能性でございますが、基本的にゼロ
  • 豊洲から勝どき終点なので、これは委員御指摘のとおり、地元にとって何の意味もない交通手段だというふうに思っておりますし、このことについては、私どもは絶対つくらせないというか、地元の方も含めて、つくらせない決意であるということは十分東京都には申し伝えてあるところでございます
  • 豊洲でずっと永遠にとまっていていただきたい

出典:2014年2月24日中央区東京オリンピック・パラリンピック対策特別委員会

中央区がここまで言うのは、臨海地区地下鉄が、ゆりかもめ延伸と競合するため。

東京都が、競合するどちらかを選ぶときに重視するのは、当然そこに住む住民の意見なので、ここで中央区は住民の意見を強く表明しました。

それが功を奏したようです。

2015年:東京都によるお墨付き

東京都の後押し

中央区の戦略は見事に奏効し、東京都が2015年7月に発表した「広域交通ネットワーク計画について<交通政策審議会答申に向けた検討のまとめ>」にて、中央区が検討した内容が無事取り上げられました。

ひときわ目立つ赤い点線が、新たに登場した臨海新地下鉄です。BRTルートと完全に競合しているのに、ちゃんと検討対象となっているところに政治の闇を感じます(笑)

ゆりかもめは、うすーい水色の点線で、豊洲→晴海→ぐるっと戻って勝どきのルートが書かれています。見えるでしょうか?

しかし報告書ではゆりかもめ延伸に見切りをつけることを述べています。

ゆりかもめ延伸(豊洲~勝どき)と都心部・臨海地域地下鉄構想を整備した場合、東京臨海地域の需要が競合することにより、本検討における試算では、ゆりかもめ延伸(豊洲~勝どき)の収支採算性の確保に課題があるとの結果になった。

2016年:国によるお墨付き

こうして東京都のお墨付きを得た臨海新地下鉄は、翌年2016年の国土交通省答申「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」に無事記載されました。

『国際競争力強化の拠点となる地域へのアクセス利便性の向上に資するプロジェクト』の一つとして、国のお墨付きをもらったことになります。

<6> 都心部・臨海地域地下鉄構想の新設及び同構想と常磐新線延伸の一体整備 (臨海部~銀座~東京)

・東京駅付近において常磐新線と相互直通運転を行う。

【意義】
・国際競争力強化の拠点である都心と臨海副都心とのアクセス利便性の向上。
・山手線等の混雑の緩和。

【課題】
・都心部・臨海地域地下鉄構想は事業性に課題があり、検討熟度が低く構想段階であるため、関係地方公共団体等において、事業主体を含めた事業計画について、十分な検討が行われることを期待。
・また、事業性の確保に向けて、都心部・臨海地域地下鉄構想と<5>の常磐新線延伸を一体で整備し、常磐新線との直通運転化等を含めた事業計画について、検討が行われることを期待。

課題についてざっくりいうと、

  • 本当に利益が出るか怪しいし、できたらいいな〜段階に見えるから、もっと検討するように。
  • 同時に提案が出ていた「つくばエクスプレスの秋葉原→東京延伸」と組み合わせると、相乗効果がありそうだから、直通運転も念頭に検討してね

という内容です。

収支計算については別紙に試算結果がありました。

上段が臨海地下鉄単独の場合、下段が臨海地下鉄+つくばエクスプレス接続の場合です。

右から5列目にNPV(現在価値)がありますが、単独だとNPVがマイナス。つまり費用対効果が取れない(マイナス)。それがつくばエクスプレスと接続することでプラスになっています。

費用対効果が取れないと作る意味がないので、つくばエクスプレスとの接続は実質、絶対条件になりそうです。

国に指示されたように見えるつくばエクスプレスとの接続ですが、これは臨海地下鉄にとってもメリットが大きいはず。

経営的に成功しているつくばエクスプレス沿線住民の臨海エリアへの移動を取り込めるので、乗客の増加が見込めるし、なにより東京駅に乗り入れる名目が立ちます。

2016年までの臨海地下鉄の歴史のまとめ

3年足らずでの超突貫での検討・調整だったということを考えると、2016年の国交省答申で取り上げられ、さらに他の有望路線との接続が推奨された、というのは大成功ではないでしょうか。

2019年晴海フラッグ販売開始前後に出た報道

晴海フラッグは東京オリンピックの選手村のために用意された土地で販売されるマンション。元が東京都から安く払い下げられた土地ということがあり、中央区という立地の良さのわりに価格が安く、大きな話題になっています。

しかし難点は近くに駅がないこと。最寄りの勝どき駅までは徒歩10~20分ほどかかります。

そのためか晴海フラッグの販売の要所ではなぜか臨海地下鉄のニュースが流れます。

  • 2019年3月(モデルルームオープンの1か月前)
  • 2019年7月(第一期販売開始の3日前)

詳細は以下の通りです。

2019年3月のFNN報道

上記答申から3年ほど経った2019年3月、FNNが『開通すると何が変わる?「銀座」から「晴海」「豊洲」を結ぶ新地下鉄』という報道をしました。

ちょうど晴海フラッグモデルルームのオープン1か月前です。

これによると・・・

・3月に東京都が築地市場跡地の活用法に関する資料を発表
・地下鉄新線の構想は、銀座から国際展示場までの5kmを繋ぐ予定
・実際に開通すれば大幅な時間短縮が期待できる

出典:FNN

加えて、「東京都から、正式決定の発表はまだないものの、地下鉄新線は2040年頃までの完成を計画している。」「さらに期待がかかるのは、銀座からさらに延伸して秋葉原につなげ、つくばエキスプレスと乗り入れする案や、国際展示場から羽田空港へつなげる案である。ただ、新路線を羽田空港までつなげると予算も倍増するため、課題も残る。正式決定や着工などはまだ先の話のため今後の東京都の動向に注目だ。」と続けています。

出典:FNN

・・・この記事をここまで読んできた方は気付きますよね。これは3年前の2016年にすでに中央区・東京都・国の答申で発表されている内容だということ。

個人的には、晴海フラッグの発表を1か月後に控えたタイミングのニュースということを考えると、販売会社側とテレビ局がタッグを組んだ疑いが拭いきれません。

記事の中にこんな記載がありますし、

オリンピック終了後、選手村は住宅街として生まれ変わり、1万2000人規模の街になる予定だという。

東京カンテイ市場調査部の井出武さんは「再開発で非常に生活しやすいという評価を受けたので、ニーズをさらに高めていくという効果が期待できる。ただ鉄道網が未整備なところがあり、それがまさに伸びしろの部分」と話す。

ちなみに筆者はこの3か月後、オープンしたての晴海フラッグモデルルームに行ったところ、営業マンから「地下鉄が来るみたいなニュースがテレビで流れてましたねぇ」と言われました。見事に販売会社とTV局の連携プレーが取れています(笑)

ちなみに私が臨海地下鉄計画の存在を知ってここまで深く調べ始めたのは、この晴海フラッグモデルルーム営業マンの一言がきっかけです。ここまで面白い計画を教えてもらい、今では感謝しています。

2019年4月の都知事会見と週刊ダイヤモンド報道

この報道を受け2019年4月5日の小池都知事会見が会見を開きました(以下引用)

【記者】NHKの成澤です。新しい地下鉄の整備について伺いたいと思います。一部メディアで東京都が銀座から臨海部へ地下鉄を整備して、羽田空港への直結を目指すと報じられているんですが、現時点での調整状況ですね、具体的に実現が見通せている案なのかということと、今後の東京都としての対応をお聞かせください。

【知事】一部報道が出ていたかと思いますが、都心部、臨海地域の地下鉄の構想ですが、この路線は、文字どおり都心部と臨海部とのアクセス強化に資する路線でありまして、その重要性については都といたしましても認識しているところであります。ただ、現在、構想段階ですし、関係者間で十分調整を重ねていく必要がある課題は多々あるわけで、臨海地域での開発動向なども勘案しながら、臨海地域全体の交通アクセスの充実ということに努めていきたいということであります。まだ、整備するという方針は固まったというものではございません
一方で、臨海地域というのは、やはり交通網がどういうふうに充実するかと平仄を合わせて発展をするものですので、地下鉄8号線の延伸の課題もございますし、これら全体を見ながら進めていくもの、順番にそれぞれの調整を進めつつ、前へということになろうかと思います。

私にとっては「整備することは決まっていません」と言っているだけに見えるんですが、ダイヤモンド社によると、都知事が地下鉄新線に前のめり、と読めるそうです。政治家の言葉は難しいですね。

東京都に地下鉄新線が誕生!?小池知事は前のめりだが実現を阻む難問も

2019年7月のANN報道

2019年7月にはANNからも新地下鉄に触れた報道がありました。今度は晴海フラッグ第1期販売開始の3日前です。

ANN:“選手村マンション”内覧殺到…人気のヒミツは?

このニュースによると

  • 東京オリンピックで選手村跡地である晴海フラッグの販売受付が今週始まる。内覧の予約が殺到している。
  • 特徴は①価格。付近に比べて1〜2割以上安い。②物件1戸あたりの面積がかなり広く、一番多い間取りが87平米
  • 課題は①最寄り駅の問題、歩くと20分ほどかかる。②入居が3年半後

問題はこの「最寄り駅の問題」の中での発言です。以下に書き起こします。

面積あたりが安くても、最寄り駅の問題も。歩くと20分ほどかかるという。
ただ、新交通システム(BRT)の導入が決まっている。
専門家によれば、全く新しい路線も検討されているというが、現実性はあるのか

ANN:“選手村マンション”内覧殺到…人気のヒミツは?

明らかに、晴海フラッグの購入を検討している人に「地下鉄が来るかもしれない」と期待させようとしているニュースですね。

誰が言っているかをぼやかして「専門家によれば」と逃げていたり、「現実性はあるのか」とかぼやかしたりしています。

きっとこのニュースもモデルルームで「テレビでまた地下鉄が来るかもというニュースが流れてたんですよ」という風に使われたんでしょうね。

それにしても、モデルルーム開場直前と第1期発売直前に、テレビのニュースを使ってまだ決まっていない新地下鉄建設の情報を流すとは、デベロッパも晴海フラッグの交通問題を相当気にしていること、新しい地下鉄に期待を込めていること、が見て取れます。

2021年以降の動き

2016年の国交省答申で取り上げられてから、しばらく進捗のなかった臨海地下鉄ですが2021年になると再び動きが見られます。

  • 2021年7月:国交省答申で臨海地下鉄は東京メトロが主体となる目がなくなる(豊住線と品川線は建設が決定)
  • 2021年9月:東京都主催の検討会が始まる※2022年10月時点で大きな動きなし
  • 2022年3月:東京都がまとめた「東京ベイeSGまちづくり戦略」に「2040年までの実現を目指す取組」として記載される
  • 2022年3月:東京都が築地再開発に向けてデベロッパー向けに説明した「築地街づくり事業実施方針」に記載される
  • 2022年11月:中央区の臨海地下鉄新線推進大会で、都議・副区長が近く進展があるとの発言

詳細は以下の通りです。

2021年7月:東京メトロが主体になる目が消える

2021年7月国交省の審議会が、東京メトロの民営化で国と都が株式を売却するに当たり、東京メトロの果たす役割をまとめて、2021年7月に発表されました。

ここで東京メトロ最後の路線として、有楽町線豊住線と品川地下鉄が明記されました。

逆に言うと、東京メトロが臨海地下鉄を作ることはなくなった、ということを意味します。

さらに臨海地下鉄については「常磐新線延伸(TX)との接続も含め、事業化に向けて関係者による検討の深度化を図るべき」というコメントがありました。2016年の国交省答申と同じです。

21年7月「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について」で豊住線・品川地下鉄の建設はほぼ確定。東京メトロによる臨海地下鉄建設は目がなくなる2021年7月15日、国交省審議会から「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について」が出されました。 今後の首都圏の...

2021年9月:東京都による検討会が開始。2022年11月時点で進展なし

2021年7月の国交省からの上記コメントを受けて、東京都が検討会を発足しました。

メンバーは大学教授・国交省の幹部です。取り扱うのは下記ということで地下鉄の概要がここで検討されます。

  • 客観的かつ合理的なルート・駅位置等の検討、概算事業費の算出、 需要予測・事業性の検証、事業スキームの整理

ただ2022年11月時点で大きな動きはありません。

22年10月時点:臨海地下鉄検討会の状況に進展なし2021年9月に東京都主催の「都心部・臨海地域地下鉄構想 事業計画検討会」(以下、臨海地下鉄検討会と呼びます)が始まりました。 関...

2022年3月:東京都がまとめた「東京ベイeSGまちづくり戦略」に記載

2022年3月東京都から「東京ベイeSGまちづくり戦略2022」が発表されました。

20年後に臨海副都心と中央防波堤エリアを中心とした東京ベイエリアがどうなっていたいかをまとめたものです。

この中に臨海地下鉄に関する記載もあり、「区分B:2040年までの実現を目指す取組」となっているものの、「取組の特性により一部実着手・制度構築等を含む」と注記付きとなっています。また豊住線や品川線には記載のある「開業目標時期」の記載がありません。

また、このドキュメントには、2016年の国交省答申で検討指示が出ていた「事業主体」や「つくばエクスプレスとの直通運転」に関する記載がありません。

というわけで、この戦略の中で、臨海地下鉄について改めて検討されたわけではありませんでした。

22年3月発表の東京ベイeSGまちづくり戦略に見る臨海地下鉄計画 2022年3月30日、東京都から「東京ベイeSGまちづくり戦略2022」が発表されました。 1年前に臨海副都心と中央防波堤...

2022年3月:東京都がまとめた「築地まちづくり事業実施方針」に記載

おなじく2022年3月東京都から「築地地区まちづくり事業実施方針」が発表されました。

築地市場跡の再開発を行うデベロッパーを募るにあたり、再開発事業の内容・方針・条件を定めたものです。

この中に臨海地下鉄に関する記載がありました。

ただその内容は「将来臨海地下鉄ができるかもしれないから、築地再開発ではそれに配慮した構造にしておいてください」という内容であり、状況に進展は見られませんでした。

22年3月発表の築地まちづくり事業実施方針に見る臨海地下鉄計画2022年3月30日、東京都から「築地地区まちづくり事業実施方針」が発表されました。 築地市場跡の再開発を行うデベロッパーを募るに...

2022年11月8日:中央区の臨海地下鉄新線推進大会にて都議・副区長が近く進展があるとの発言

2018年以降毎年開かれている中央区のイベントで都議と副区長が近く進展があるとの発言をしました。

  • 都議:年内には都から何らかの発表があると聞いている
  • 中央区副区長:近々都や国が発表し、おおよそ新線の位置や駅が決まってくるはず

詳細はこちらをご覧ください。

22年11月 臨海地下鉄新線推進大会で都議と中央副区長が近々発表を示唆2018年から中央区が毎年開催している「都心・臨海地下鉄新線推進大会」が2022年11月8日に開催されました。 その模様が東京新聞...

2022年11月25日:小池都知事が臨海地下鉄のルート・駅を発表

都知事の発表内容

2022年11月25日小池都知事が会見を開き、臨海地下鉄のルート・駅位置を発表しました。21年9月から始まった都主催の検討会が最終報告をまとめたことを受けての発表です。

この中で東京都としては初めて具体的なルートと駅位置を示しました。

ルート、駅については大きなサプライズなし

  • ルート:これまで発表の通り、晴海通りの少し南を通り、銀座から晴海まで、その先は豊洲市場・ビックサイトに
  • 駅:これまでは勝どき・晴海が一つの駅だったが、それぞれ別に設けられることに。東京、新銀座、新築地、勝どき、晴海、豊洲市場、有明・ビックサイト

気になるのは

  • つくばエクスプレスとの接続は発表されず。単独でも採算が採れるとの試算
  • 勝どきと晴海が2つの駅に分かれた
  • 江東区の沈黙

詳しくはこちら

22年11月25日 小池都知事が臨海地下鉄のルート・駅を発表。気になる3点は(TXとの接続、勝どき・晴海駅、江東区の反応)2022年11月25日小池都知事が会見を開き、臨海地下鉄のルート・駅位置を発表しました。 21年9月から始まった都主催の検討会が最...

発表のもとになった事業計画案

事業計画案の内容はこのようなものでした。

  • 今回は臨海地下鉄単独での収支算定を行った(つくばエクスプレスとの接続はない前提)
  • ルートは東京、新銀座、新築地、勝どき、晴海、豊洲市場、有明・東京ビッグサイト
  • 概算事業費は約4,200~5,100億円。費用対効果はプラス。累計収支は30年以内に黒字に
  • 収支の改善のためにつくばエクスプレスとの接続を検討する
  • 国際競争力強化のため羽田空港への接続を検討する※公的文書では初めての記載

2016年答申では、つくばエクスプレスと接続しないと採算が採れないと言われたが、下記の変化によって判断が変わったと思われる。

  • 東京駅と接続することにしたことや、沿線商業施設の開業による他路線からの流入増(東京・新銀座⇒湾岸エリア方面)
  • 沿線住民の増による通勤通学需要の増(湾岸エリア⇒東京方面)

詳しくはこちら

22年11月25日 臨海地下鉄検討会が事業計画案を発表。なぜ単独でも採算が採れるようになったのか?2022年11月25日に臨海地下鉄検討会が事業計画案を発表しました。 その要旨を小池都知事が発表していますが、今回は事業計画案の詳...

まとめ

「臨海地区地下鉄」ははたしてできるのか否か。

一般的に鉄道の敷設は計画3年・建設7年と言われるので早くても2030年代後半、以前のFNNの報道でも2040年ころとあったので、いずれにせよ長い目で見たほうがよさそうです。

22年11月25日 小池都知事が臨海地下鉄のルート・駅を発表。気になる3点は(TXとの接続、勝どき・晴海駅、江東区の反応)2022年11月25日小池都知事が会見を開き、臨海地下鉄のルート・駅位置を発表しました。 21年9月から始まった都主催の検討会が最...
臨海エリア新地下鉄のルートと駅の場所※2022年11月25日小池都知事がルート・駅を発表しました。 本ブログ記事:小池都知事が臨海地下鉄の計画案(ルート・駅)を発表 ...
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晴海フラッグ:タクシー通勤を試してみた(新橋駅/勝どき駅/月島駅)駅から遠い晴海フラッグは通勤には自転車が良さそうです。ただ雨が強いと使えないので、タクシーやバスが候補となります。 タクシーで気に...
晴海フラッグ:バス通勤を試してみた(有楽町/東京駅/錦糸町/四谷) 晴海フラッグ(HARUMI FLAG)は、2020東京オリンピックの選手村として創られる建物をそのまま使うマンション。中央区とい...