臨海地下鉄 PR

臨海地下鉄の延伸先は羽田空港か海の森か

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

臨海地下鉄はまだ建設は決まっていませんが、気になるのは有明方面がどこまで伸びるのか。

東京都が発表した臨海地下鉄のルートは、東京駅と有明・東京ビッグサイト駅(仮称)の間。

東京駅側は、秋葉原から東京駅に伸びる構想がある「つくばエクスプレス(TX)」と接続を検討するよう、国交省答申で指摘されています。

ただ反対側の有明方面の延伸計画は明らかになっていません。

先に伸びるとしたら「りんかい線に乗り入れて羽田空港まで」と「海の森まで」という候補があるんですが、どちらになりそうか調べてみました。

要点まとめ
  • 臨海地下鉄の有明側の延伸先としては「りんかい線と接続して羽田空港まで」と「海の森」の2つが候補
  • 臨海地下鉄が東京駅でTXと接続したら、TX→臨海地下鉄→りんかい線→羽田空港が乗り換え無しとなり、TX利用者にとってかなり便利なものに
  • 国交省答申で臨海地下鉄はTXとの接続を検討するようにと指摘されているので、TX利用者の利便性を勘案し、羽田空港への延伸を目指すはず

臨海地下鉄計画とは

臨海地下鉄はまだ建設が決まっていない地下鉄の計画です。22年冬に東京都知事がルートを発表したことで、検討が一歩前に進んだと言われています。

東京駅から銀座や築地・晴海・豊洲市場といった観光地・住宅地を通って有明・ビッグサイトに至る短い路線です。

工事費が高いことがネックになりどこが運営主体になるか決まっていません。

鉄道建設には調査から始まり20年くらいかかるということなので、この路線はできたとしても2040年代以降になりそうです。

現在の計画では「有明・東京ビッグサイト」までですが、その先に伸ばす候補として今、「りんかい線に接続して羽田空港まで」と「海の森まで」の2つが上がっています。

ここからはそれぞれの案の内容と、どちらが有力か考えてみます。

羽田空港までの延伸計画

羽田空港への延伸計画の概要

臨海地下鉄は、有明・東京ビッグサイトでりんかい線にぶつかりますが、そこでりんかい線に乗り入れ、羽田空港へ向かう計画があります。

これまでは噂レベルでしたが、2022年11月25日発表の東京都臨海地下鉄検討会の事業計画案では、下図とともに「臨海部や首都圏の国際競争力をより強化するため、羽田空港への接続を今後検討」と初めて公的文書に明記されました。

出典:都心部・臨海地域地下鉄構想 事業計画検討会「事業計画案」

これには背景があり、「りんかい線」はすでに羽田空港に向かう計画があります。

出典:JR東日本グループ変革ビジョン「変革2027」

上の図の水色の線で、りんかい線の回送路線を使い新設の羽田空港アクセス線につなぐ計画です。

臨海地下鉄は、有明・東京ビッグサイト駅でりんかい線とぶつかるので、そこでりんかい線に乗り入れると、物理的には羽田空港までつながることになります。

課題はライバルとなる空港アクセス線「東山手ルート」の存在

臨海地下鉄が羽田空港まで伸びると、東京駅から羽田空港まで1本でつながることになります。

ただ気になるのは、羽田空港アクセス線の「東山手ルート」も羽田空港・東京駅を直通で結ぶこと。

2029年度に開通が決まっている東山手ルートがあるのに、おなじ東京駅・羽田空港を結ぶ臨海地下鉄の羽田空港までの延伸がニーズあるのか、数値等で検証しました。

東京駅⇔羽田空港の所要時間は東山手ルートの圧勝

まず、東山手ルートは東京駅⇔羽田空港を18分で結びます。

次に、りんかい線を通る「臨海部ルート」は新木場⇔羽田空港を直通20分で結ぶとのこと。

もし臨海地下鉄が、有明・東京ビッグサイト駅でりんかい線の国際展示場駅に乗り入れると東京駅から羽田空港までつながりますが、かかる時間を計算すると・・・

  • 臨海地下鉄は東京駅から有明・東京ビッグサイト駅まで6駅なので15分くらい。
  • 羽田空港アクセス線の新木場⇔羽田空港は約20分なので、国際展示場駅から羽田空港までは15分くらい。

よって、東京駅から臨海地下鉄・りんかい線・空港アクセス線臨海部ルートを通って羽田空港に行く場合、約30分かかることになりそうです。

というわけで、東京駅・羽田空港間の移動だけで考えると、東山手ルートは18分、臨海地下鉄+臨海部ルートは30分。東山手ルートが12分も早く着くので圧勝です。

東京駅からの移動だけを考えると、臨海地下鉄の羽田空港までの乗り入れは不要のように思えます。

TXと接続すると臨海地下鉄経由が有利

ただ臨海地下鉄がつくばエクスプレス(TX)と接続すると話が変わります。

臨海地下鉄は国交省の答申で、収支面を確実なものにするため、東京駅までの延伸構想があるTXと接続するようコメントを受けています。

臨海地下鉄が、東京駅でTXと接続し、東京ビッグサイト駅でりんかい線乗り入れが実現したら、TX利用者が羽田空港に向かうとき2つの選択肢ができます。

東京駅からかかる時間を考えると

  • 東京駅で乗り換えて東山手ルート乗換時間+18分の乗車
    TX→(東京駅乗換)→東山手ルート→羽田空港
  • 乗り換えなしの臨海地下鉄・臨海ルート東京駅から30分(乗換はなし)
    TX→(乗換なし)→臨海地下鉄→(乗換なし)→臨海部ルート→羽田空港

TXが東京駅まで来たとしても、TX東京駅はおそらく地下深くだと思われるので、JRへの乗り換えは秋葉原駅のように5~10分かかると想像します。

羽田空港に行くときは多かれ少なかれ荷物があるので、つくばエクスプレス利用者にとっては10分ほど余計に時間がかかっても乗り換えなしの「臨海地下鉄・臨海ルート」の方が、長い乗り換えが必要な「東山手ルート」より楽だろうと想像します。

よって臨海地下鉄がTXと接続するなら、臨海地下鉄がりんかい線とも接続して羽田空港に乗り入れるメリットが出そうです。逆にいうとTXと接続しないなら、りんかい線と接続するメリットはなさそうです。

海の森までの延伸計画

臨海地下鉄の「海の森」(お台場の先の埋立地)までの延伸は、2022年10月に江東区の山﨑区長が小池都知事に要望したものです。

海の森への延伸計画の概要

江東区長が要望したのは、下記のような内容です。

  • 海の森に東京2020 大会のレガシーとなる海の森公園を2024年度末の完成に向けて整備中。
  • 屋外スポーツやレジャーの拠点として、都心近傍で豊かな自然を感じられるパークエリアとすることを目指している。
  • 交通アクセスの改善に向けて、構想中の臨海地下鉄を海の森に延伸するような可能性を残していただきたい

今はバスで行くしかない海の森に気軽に行けるように、電車を通してもらいたいという内容です。

海の森とは

海の森とはお台場・有明の先にあるごみの最終処分場(埋立地)。今は埋め立てが完了しています。

2021年東京オリンピックではボート・カヌー・馬術の競技会場となりました。その後公園の整備が進み、2024年度末にオープン予定です。

海の森がある中央防波堤埋立地は、実は最近までどの区に所属するか決まっていませんでした。当初は江東区・大田区・品川区・港区・中央区が帰属を主張しましたが、2019年に裁判により江東区に8割・大田区に2割帰属することになりました。

もともと23区全てのごみを受け入れ、この埋立地へ向かうゴミ運搬車が通り渋滞や悪臭に悩まされていた江東区に一定の配慮がされた形です。

もともとゴミの処分地だったことから交通の便は悪く、車もしくはバスでしか行くことができません。

江東区長の要請は、せっかく帰属を獲得しながら交通アクセスが劣悪な海の森について、臨海地下鉄を通すことで問題を解決しようとするものです。

課題は使う人の少なさ

一番の課題は「海の森に行く人が少ない」ということでしょうか。

海の森公園は約58ha(東京ドーム約10個分、東京ディズニーランド約1個分)という大きさで、23区で一番広い公園です。ただ交通の便が悪いので、訪れる人が少ない状態が続きそうです。

「来たい人が来れないので電車をひいて欲しい」「人が来ないので電車は必要ない」という「ニワトリが先か卵が先か」議論になりそうです。

余談:江東区長の要請の背景

2022年11月まで江東区は臨海地下鉄について、一切意見を表明してきませんでした。江東区を走る路線なのに、です。

なぜこの時期に初めて江東区長が臨海地下鉄について要望を表明したのでしょう。それは過去の歴史に要因がありました。

臨海地下鉄がゆりかもめ延伸計画をつぶした

「ゆりかもめの豊洲⇒晴海・勝どきへの延伸」は2000年に国交省答申で正式に取り上げられた検討路線でした。

豊洲は江東区、延長先の晴海・勝どきは中央区です。江東区としては当然区民の利便性が上がり、中央区からの人の流入も期待できるゆりかもめ延伸を後押しする立場だったと思われます。

しかし2013年東京オリンピック開催が決まり、臨海地下鉄実現を目指すことにした中央区は、競合する計画「ゆりかもめ延伸」を潰しにかかりました

東京都や国が、競合する路線のどちらかを選ぶときに重視するのは、当然そこに住む住民の意見なので、中央区は住民の意見としてゆりかもめ延伸不要論を強く表明したのです。

それが色濃く出ているのが、2014年2月24日中央区東京オリンピック・パラリンピック対策特別委員会でのゆりかもめ延伸に関する委員と副区長のやりとりです。

今野委員
・風やさまざまな気象条件で運行がとまってしまう
・現実にまちを分断してしまう
・勝どきまでしか来ていないということでは意味がない

吉田副区長
・豊洲から先の路線についての実現の可能性でございますが、基本的にゼロ
・豊洲から勝どき終点なので、これは委員御指摘のとおり、地元にとって何の意味もない交通手段だというふうに思っておりますし、このことについては、私どもは絶対つくらせないというか、地元の方も含めて、つくらせない決意であるということは十分東京都には申し伝えてあるところでございます
・豊洲でずっと永遠にとまっていていただきたい

出典:2014年2月24日中央区東京オリンピック・パラリンピック対策特別委員会

ここら辺の経緯の詳細については下記を参照ください。

本ブログ記事:【詳細版】臨海地下鉄計画とは?その歴史と最新情報「2013~16年:ライバルのゆりかもめ延伸を阻止」

結局このような中央区の動きが功を奏し、ゆりかもめ延伸は臨海地下鉄と競合して採算が取れないとして都と国の検討から消え、臨海地下鉄が都と国のお墨付きをもらいました。

江東区としては忸怩たる思いがあったはずですが、次の豊住線の事情があったため、ゆりかもめ延伸計画潰しについては沈黙を守ったものと思われます。

江東区の悲願 有楽町線の延伸(豊住線)

1972年の国交省答申で検討路線として取り上げられた有楽町線の住吉までの延伸(8号線、豊住線)は江東区の悲願でした。

それが達成できないままでいた40年後の2013年に出てきたのが臨海地下鉄構想です。

江東区としては、豊洲市場・有明・東京ビッグサイトといった江東区エリアにつながるので表立って反対もできない。しかし豊住線・臨海地下鉄どちらも東京メトロに建設してもらいたいためライバル関係にある。

そのため江東区は豊住線については熱心に建設をアピールしたものの、臨海地下鉄については沈黙を守っていました。

しかし、2017年江東区は築地市場の移転先として豊洲を提供する代わりに東京都から豊住線建設の言質を取り付け、ついに2021年に東京メトロによる建設が決まりました。

21年7月「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について」で豊住線・品川地下鉄の建設はほぼ確定。東京メトロによる臨海地下鉄建設は目がなくなる2021年7月15日、国交省審議会から「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について」が出されました。 今後の首都圏の...

2022年3月には東京メトロによる建設申請が許可され、正式に着工が決定。

これでライバル路線のことを気にしなくてよくなった江東区は、ついに今回臨海地下鉄について初めての意見を表明したものと思われます。

けっきょく臨海地下鉄の行き先は?

臨海地下鉄の行き先は東京都はりんかい線に乗り入れて、羽田空港を目指したい。江東区は海の森まで伸ばしてほしい。

現時点では「りんかい線に乗り入れて羽田空港まで直通」の方が有力だと思います。

なぜなら、国交省答申で「採算性を上げるために、TXとの接続を検討するように」と言われているから

となると、臨海地下鉄はつくばTX利用者の利便性を上げることを第一に考える。そしてTX利用者にとっては羽田空港までの直通運転が一番メリットがあるとなると臨海地下鉄はりんかい線に乗り入れて羽田空港に行くことを目指すだろう、という考えです。

逆に海の森に来てほしいという江東区の要望は、つくばエクスプレスとの接続話が消えない限り実現しないのでは、と想像します。

江東区もそれを分かっていて「海の森へ延伸してもらいたい」という言い方ではなく、「海の森に延伸するような可能性を残していただきたい」という控えめな言い方をしたのかもしれません。

まとめ

  • 臨海地下鉄の有明側の延伸先としては「りんかい線と接続して羽田空港まで」と「海の森」の2つが候補
  • 臨海地下鉄が東京駅でTXと接続したら、TX→臨海地下鉄→りんかい線→羽田空港が乗り換え無しとなり、TX利用者にとってかなり便利なものに
  • 国交省答申で臨海地下鉄はTXとの接続を検討するようにと指摘されているので、TX利用者の利便性を勘案し、羽田空港への延伸を目指すはず
22年11月25日 小池都知事が臨海地下鉄のルート・駅を発表。気になる3点は(TXとの接続、勝どき・晴海駅、江東区の反応)2022年11月25日小池都知事が会見を開き、臨海地下鉄のルート・駅位置を発表しました。 21年9月から始まった都主催の検討会が最...
22年11月25日 臨海地下鉄検討会が事業計画案を発表。なぜ単独でも採算が採れるようになったのか?2022年11月25日に臨海地下鉄検討会が事業計画案を発表しました。 その要旨を小池都知事が発表していますが、今回は事業計画案の詳...

https://mansion.tokyo.jp/rinkai-subway

晴海フラッグの目の前の晴海ふ頭は残り続けるのか2022年夏、HARUMI FLAG完成に先立ちSEA VILLAGEの目の前の晴海緑道公園が整備されました。 そこを歩いていて気...
東京BRT晴海のルート・バス停と新橋・虎ノ門までの所要時間2020年10月から運行が始まった東京BRT。2022年12月時点ではプレ運行1次として晴海→虎ノ門のルートだけが運行されています。 ...